2018年06月24日

太極拳・形意拳・八卦掌の大家 王樹金老師の動画まとめ

Wang_Shu_Chin.jpg
※詳細不詳。若き日の王樹金老師。出典:Pinterest

昭和33年(1959年)に初来日し、日本に太極拳・形意拳・八卦掌を伝えた王樹金(わん・しゅーじん)老師。1905年、天津生まれで、字(あざな)は恒蓀(ほんすん)。天津から約32km離れた村に住む農民、王家の6男であったことから、天津での俗称は王六。14歳の時に大志を抱き両親の許可を得て天津に赴き国際貿易会社に勤務。1923年、18歳の時に"閃電手"の二つ名で知られる、形意拳・八卦掌の大家として名高い張占魁(張兆東)と偶然知り合い、師事する。1934年に王薌齋(王向斉)に教えを受け、大成拳樁法を学ぶ。1940年に師叔であり、四川省、河北省の山中で50年以上八卦掌を修行していた蕭海波隱士より八卦掌の秘伝を教授される。
【参考:Wang Shujin - Wikipedia(イタリア語)、中華武術國際誠明總會 - 祖師爺

"褐色の爆撃機"の二つ名を持つボクサーのジョー・ルイスや、「デンプシー・ロール」で名高いジャック・テンプシー、CIAのロバート・スミスなど対戦エピソードも多く、その伝説的な強さで世界的に名高い中国武術の大家です。

その技術は、地曳秀峰氏の全日本柔拳連盟、小澤正司氏(現在は後継者の望月克彦氏)の中華武術國際誠明總会 第二府中館はじめ、各種団体により日本でも伝承されています。

王樹金老師は1981年9月8日、77歳の時にメラノーマと糖尿病の合併症により台湾で病没されましたが、IT技術の発展により、Youtubeに動画が公開され、誰でも見ることができます。歴史的名人の動画を直接見ることができるのは修行者にとっては得難いことです。

王樹金老師の略歴は以下の通り。(Wikipediaより引用)
王 樹金(おう じゅきん、英: Wang Shu Jin、1905年 - 1981年)は、中国河北省天津出身の中国武術家。

日本において初めて公式に中国武術の本格的指導を行った真のパイオニア的人物(合計21回来日)。 太極拳・形意拳・八卦掌を教授した。 教義に仏教思想をも内包する道教系、「一貫道」(天道)の幹部信徒(第三位階)、菜食主義者であった。

初学は河北派形意拳の大家として知られる、八卦掌の開祖・董海川の最晩年の弟子であった張占魁に就いて関門弟子(最後の弟子)となり、形意拳及び八卦掌を教授される。張の紹介により1934年(民国23年)王向斉から「大成拳樁法」を教授される。 張占魁は晩年に弟子達を当時天津滞在中の王向斉の下でも学ばせた。その中には心会掌創始者・趙道新や銭樹樵などがいる。

なお、一番詳しい王樹金老師の略歴(年表)は、先にも記載しましたが、中華武術國際誠明總會公式サイト - 祖師爺かと思われます。繁体字中国語なのでほぼ意味が分かります。

では、王樹金老師の動画を紹介します。修行者の方に、一点、注意事項がありますが、特に型の演示については、「見られても構わない型」を撮影させており、本当の型は隠している部分があるというところです。

それでも、動きのタイミングや功夫の凄さは見取ることができますので、貴重な資料です。特に、動きのタイミング、拍子は動画でしか見ることができないので、動画の資料は貴重です。

■Wang Shujin (1904-1981)

窓のないビルの一室で撮影された10分間のカラー動画。元は8mmフィルムと思われます。日本での指導風景でしょうか? 形意拳、誠明太極拳(正宗太極拳)の演示の他、6:38から始まる用法は必見。名人の用法がカラーで見られるのはこの動画だけ(笑)

■Wang Shujin & Liao Wuchang

白黒の8mmフィルム映像。20秒と短いですが、ビルの屋上で王樹金老師が腹を突かせる映像と、八卦掌の映像が映っています。後半はLiao Wuchang氏の映像が少し入っています。

■Wang Shujin Documentary Extracts

白黒映像4:38。画質は悪いですが日本語での解説が入っています。形意拳、誠明太極拳(正宗太極拳)の演示の他、後半には用法の映像も収録されています。

これ以外の動画もありますが、ソースは上記の3つでこれを切り貼り編集したもののようです。

■参考リンク
中華武術國際誠明總會 王樹金老師の設立した団体の公式サイト。台湾なので繁体字の中国語です。

中華武術國際誠明總會 International Cheng Ming Chinese Martial Arts Association FaceBookもやっています。

全日本柔拳連盟・(財)日本太極拳協会・日本誠明会 國際誠明總會の日本分会でもある全日本柔拳連盟のサイト。全国に教室があり、王樹金老師直伝の技術が習えます。年に数回、正統後継者の王福来老師が来日して直接習う機会もあります。

中華武術國際誠明總会 第二府中館 王樹金老師の正統後継者 王福来老師の入室弟子、国際教練である望月克彦氏のサイト。

王樹金 - Wikipedia まずはここから、各国語版もそれぞれ興味深い内容が記載されています。

スポンサードリンク

posted by 湘南裕一郎 at 11:27 | Comment(0) | 武術

2018年06月05日

ミッドウェー海戦から76年、戦時中の報道を振り返る

今日、2018年6月5日は、日本軍にとって致命的な敗北となったミッドウエー海戦から76年目となります。

当時の新聞でどのように報道されたのかを調べたら、1週間経過した1942年6月11日に朝日新聞、読売新聞に記事が初めて出ました。これがいわゆる「大本営発表」なのでしょうか。

Wikipediaより日米両軍の損害を引用します。

■日本軍の損害■
航空母艦4、重巡洋艦1沈没
重巡洋艦1大破
駆逐艦1中破
戦死3,057(航空機搭乗員の戦死者は110名)

■アメリカ軍の損害■
航空母艦1、駆逐艦1沈没
戦死307(航空機搭乗員戦死者は172名)

これが二大紙では以下のように報道されました。

しかし、朝日と読売で自軍の損害が微妙に異なるところも興味深いところです。
両紙のミッドウエー海戦についての1面の大見出しのまとめです。

なお、旧漢字は新漢字に置換しています。

■朝日新聞 1942年6月11日 東京 朝刊 1面■

東太平洋の敵根拠地を強襲
ミッドウエー沖に大海戦
アリューシヤン列島猛攻
陸軍部隊も協力 要所を奪取

米空母二隻(エンタープライズ、ホーネット)撃沈
わが二空母、一重巡に損害
太平洋の戦局此一戦に決す


■読売新聞 1942年6月11日 朝刊 1面■

米の対日北方攻撃地点破砕
長駆進攻・アリューシャン列島に上陸
東太平洋に感激の壮烈戦
ダッチハーバーを猛撃
陸軍と協力 諸要点攻略
同時ミッドウエーを強襲
空母二隻
エンタープライズ型とホーネット型を撃沈
敵機百二十機撃墜、軍事施設爆砕
格納庫油槽群爆破炎上

(我方損害 空母一喪失、空母一、重巡一大破)
肉を切らせ骨を斬る海軍魂、米の海空ゲリラ戦を封殺す


自軍の損害と米空母の型番が妙に小さい文字になっています。
この後、アメリカの報道を否定する報道が両紙で続報として報道されます。

本作戦後、日本軍の攻勢は止まり、防戦一方となります。
この報道を見てみなさまはどのように感じるでしょうか。

【参考リンク】
ミッドウェー海戦 - Wikipedia 詳細な解説がされています。

スポンサードリンク

posted by 湘南裕一郎 at 21:59 | Comment(0) | ニュース